「積読」カテゴリーアーカイブ

アイディアのつくり方

このようにアイディアを生み出した経験はありませんか?


アイディアは既存のアイディアの組み合わせだ。事物の関連性からアイディアを見つけ出すことができる。

アイディア生み出す具体的方法は、

まず、資料集める。次にそれら資料を組み合わせ、その関係性を探る。しばらくは頭の中がごっちゃになり、曖昧な状態が続くことになる。

その手詰まり状態から離れ、それらを一旦心から放棄してしまう。劇や音楽、詩など、自分の想像力や感情を刺激するものに心を移す。未意識の創造過程を刺激するのだ。

でもどこからもアイディアはあらわれてこない。それは、入浴時や朝目が覚めていない時、散歩の途中など、最も到来を期待していない時に訪れる。

そうやて降りてきたアイディアは断片であることが多い。アイディアの全体像を見つけ、それを分かるようしなかればならない。この一瞬逃してしまうとアイディアの破片は陽の目を見ずに失われることになる。アイディアを現実に連れ出すことが必要なのだ。

次に現実の過酷な条件やせちがらさに適合させるためアイディアにたくさんの手を加える。また、理解のある人から批判を受けるなどのしつこさも必要だとなる。

良いアイディアはそれを見る人々を刺激するので、まわりの人が手を貸してくれる。それによって自分が見落としていた種々のアイディアの可能性が明かるみに出てくる。良いアイディアは自分で成長する性質を持っているのだ。


以上は、

元米国広告代理店役員ジェームス・W・ヤング『アイディアのつくり方』(翻訳昭和36年初版/米国初版1940年)の本の要約です。あまりにうす~い本なのでびっくりですが、大量消費されるノウハウ本の中でここまで長く残る本は稀でしょう。

 

従業員300名以下企業の管理職

中原淳(2021)『中小企業の人材開発』 東京大学出版会 では、従業員300名以下企業の管理職の実態が次のよう紹介されている。

・女性管理者は1割未満

・平均年齢は42歳

・部下数の平均は10名

・個人目標を有するプレイングマネジャーは全体の83%

・個人目標の達成に多くの時間をかけてしまう管理者は、「会社への貢献度」「管理者としての能力向上」においてそうでない人に比べて低くなる

・「重大クレームの対処解決」「管理業務の代行」「協力会社とのトラブル解決」「全社を巻き込んだり、社長直下のプロジェクト」など、管理者になる前から周囲よりも責任の重い仕事を任されてきた

・2割の人は管理職研修の受講機会がない

・会社指示による社外勉強会へ参加は、年に1回以上が8割。ただし、参加後に「社内メンバーと共有する」「自分の仕事に適応する」人は半数程度

・他方、自発的に社外勉強会に参加した場合は、「業務に適用する」人が8割、「メンバーと共有は」4割

・経営者との会話頻度は「月に1、2回」が8割であり、必要を認識している経営者自身の自社の管理者への教育へのコミットメントは低い

大学卒業後、私の入社した会社は㈱リクルート人材センターという人材斡旋を行うために㈱リクルートから独立してつくられた会社だ。当時は従業員250名程度の中小企業であった。私はその後従業員3000人の㈱リクルートへ出向・転籍をしたが、組織の印象はだいぶ異なっていた。言葉に表しにくいこの感覚の違いが、大手企業を中心とする人材開発施策の言説が中小企業にフィットしない理由の一つだろう。それらの事実に向き合い、深く考えることをしていなかった。

 

高橋伸夫『コア・テキスト経営学入門(第2版)』

新サイトオープンを機に、この書から「新・積読」を再開したいと思う。

経営学入門の本を書店に探しに来た人で、棚からこの本を選ぶ人は少ないはずだ。なぜなら、教科書っぽくない章立てでわかりにくく、ノウハウ感が無いからだ。

だが、この本にはとんでもない仕掛けのある恐ろしい入門書である。2007年初版本は購入したもののざっと見て放置していた。最近、じっくり読んでみたのだが、読み進めてびっくり!最後の「付録」にこの本の種明かしが書いてあった。

この本は、組織論の古典:バーナード『経営者の役割』と同じ章立てで内容が構成されている。それに加え現代的な話題を別立てし、「課題」として本文に挿入している。

本書の内容はもちろん確実だが、最初から最後まで高橋先生のメッセージが込められている熱い書である。少しかっこ良すぎである。

バーナードの『経営者の役割』は、組織論を学ぶ者には古典中の古典であり、必須の書だ。やや難解なところもあり、本当に読んでいる人は僕らの周りでも少ないだろう。

以前、リンクアンドモチベーションの小笹さんが「経営者の役割」を社員全員に読ませているとの記事を読んだことがある。人事、経営に携わる人に読むべきだとの気持ちはよくわかる。組織を運営することを経営とするなら、まさに経営入門の書としてバーナードの書はふさわしい。でも完読するにはややまわりくどい。

それに比べて、本書は身近でわかりやすい。しかも、昨年11月に第2版が出版された。すぐに私も購入したが、新版と旧版と比較をしながら、うーん、なるほどな・・・とややマニアックな読み方をしている。

そもそも「・・・入門」という本を書ける人も少ないが、版を重ねられる人、著作はもっと少ない。経営学の某先生がいつかこの本を超える本を書いてみたいと言っていた伊丹/加護野『ゼミナール経営学入門』は一世を風靡した経営入門の金字塔で現在第3版。これも実務家には意外にもわかりにくいと言われる本だが、ボロボロになるまで読んでいる人も多い名著である。

★★★★★

高橋伸夫(2020)『コア・テキスト経営学入門(第2版)』新世社